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2018-11

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代り映えしないネパールの政治

政治について、今日は書くことはない。
カトマンズのトランス・ヒマラヤン社の社員に聞いたら、何の進展も変化もないという返事だった。
政治的混乱も、落ちるところまで落ちないと改まらないということなのだろうか。
こうなったら、共産党の一党独裁を経験して、その反省の上で新しい社会を、国を築くということか。
だがそうなったら、国や国民が払う犠牲の大きさは計りしれない。
ともかく、今日も混沌とした政情は続いている。

マオイストの武力革命というか暴力革命で、ネパールの農村、そして人心の荒廃ははなはだしい。
暴力が生み出した弊害もまた計り知れない。
民主主義は暴力がふるえないシステムでもあるが、ネパールの民主主義はそんなことにお構いなしだ。
ましてや、政治に民主主義を期待するのは絶望的だ。
それとも、民主主義が衆愚政治に陥ったということか。


(ドン・キホーテ続き)

二日目、標高二五〇〇メートルのシン・バンジャン(バンジャン=峠)を越えた。
峠を少し下って行くと、突如、足元から幾重にも重なる山々のはるか彼方に、左右見渡すかぎり大ヒマラヤの山々の連なりが姿を見せた。
(おおっ、なんという景色だ)
 宮原は、そこからヒマラヤが見えるとは想像もしていなかっただけに、驚きの目を見張った。
ヒマラヤまでの距離は、近いところで七、八〇キロメートルだろうか。
右手の遥かかなたにエベレスト辺の山が見え、左手にダウラギリが見える。
かれこれ右左三〇〇キロメートル余にわたるヒマラヤの大展望である。
ヒマラヤは、雲より白く、雲より高く聳え、まさに「白き神々の座」と呼ぶにふさわしい崇高な美しさを見せていた。
さらにしばらく下ると、茶店が数軒並んでいるダーマンという場所に着いた。
ダーマンは絢爛と咲き誇る真紅のシャクナゲの花に埋まっていた。
ネパールのシャクナゲは、高さ二〇メートルぐらいの大木である。
(ここはまさに桃源郷の入り口ではないか)
宮原は、この場所に立つ自分がうれしく、一人悦に入った。
心に明るい日差しを受けたような喜びが湧き上がるのを覚えた。
あまりの展望の素晴らしさに、まだ午前中であったが、その日はそこで足を止めた。
比較的清潔そうなよしず張りの茶店に泊めてもらうことにして、そこに荷を置き、さっそく近くの小高い台地に登ったりしながら周辺を散策した。
昼近くになると、ヒマラヤは積乱雲にすっかり包まれた。朝方はあれほど晴れていたのに、午後三時ごろになると、今度は一天にわかにかき曇り雹まで降ってきた。
茶店のおじさんは、ネパール語を習いにいくのだという宮原に、
「ネパール語で、雹はアシナ、汗はパシナ」
 だと教えてくれた。
夕方になってまた晴れ上がり、ヒマラヤをおおった雲はやがて夕日に赤く染まり、その上の空の色はさまざまな変化を見せた。そして夜は満天の星空となった。
翌日は、ダーマンからしばらく下り、また登って小さな峠を越え、そこから今度は九十九折の下り坂を谷底まで、自転車のブレーキが擦り切れるほどに下りに下った。
最後に再び登り返してようやく三つ目の峠に立った。
そこはタンコット峠という、カトマンズ盆地の外輪山の一角であった。
カトマンズ盆地は、春霞にけむり、茫漠とした平野の広がりとなって見えた。
峠から下って平地に入ると、緩やかな下り道が真っ直ぐにカトマンズの街に向かっていた。
宮原はハンドルから手を離し、鳥の羽のように両手を大きく広げて空を切りながら下った。
道の両側には菜の花が咲き、麦畑のやわらかい緑が目に鮮やかであった。
カトマンズは、四年前に来た時と何も変っていないように見えた。
横浜港からは船、そしてボンベイからは汽車、さらにビルガンジからは自転車をこいで四〇日間の旅は終わった。三月初旬、カトマンズは春うららかな陽気に包まれていた。
加藤とは、四年前に泊まった安宿で落ち合った。

(次回に続く)

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プロフィール

宮原巍

Author:宮原巍
ネパールに住んで45年。
1934年、長野県青木村出身。
1968年トランス・ヒマラヤン・ツアー社(カトマンズ)、1969年ヒマラヤ観光開発株式会社(東京)を設立。その後、ホテル・エベレスト・ビューとホテル・ヒマラヤ・カトマンズを建設。
長年ネパールの観光事業に携わり、ついにはネパールの国籍を取得。
著書に『ヒマラヤの灯火』(文藝春秋刊)、『還暦のエベレスト』(山と渓谷社刊)がある。

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