2013-08

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悪しき構図

カトマンズの水不足は深刻である。
ヒマラヤから流れ出る水が豊かだからといってカトマンズはその恩恵に浴さない。
何故ならカトマンズ盆地の近くを流れるヒマラヤから流れてくる川の標高は700メートルであるのに対し、カトマンズの標高は1,340メートルで、とてもポンプアップして使うというわけにはいかないからである。
そこでいきおい、盆地をとり巻く山からの水収支ということで現状はとどまっている。
昔、盆地内の人口が70万といわれたころは、不足がちではあってもそれで何とかなっていたが、今の5倍となった人口の需要にはとてもそれではまにあわない。

その位の読みはあって、25年前メラムチトいという盆地の北東部のヒマラヤの前山から水を引く計画が立てられ、その調査をノルウエー政府が請け負った。
そこで26キロメートルのトンネルを掘って、メラムチの川から水を引くという計画となった。
私はその水源辺を昔トレッキングしたとき、それほど大きな川でないことを知っていたので、7年前、季節別に3回訪れ水量を測った。

案の定、雨季の間はともかくそんなに沢山の水は流れていなかった。
4月のデータでは1.2㎥/sec.である。
例えて言えば、私の生地信州青木村の中を流れる川の水量にも及ばないほどである。
川に堰をつくってその川の水を引き込むというこの計画では、350万の人口に対して、まさに焼け石に水である。
それなのに湯水のようにお金を使って25年、工事は最初中国が請け負ったが、彼らは手を引き、今度はイタリアの業者がやるという。
完成はいつのことかわからない。
本当は上部に雨季の水を溜めるダムをつくって、稜線通しに開渠(一部短いトンネルが必要)でカトマンズにその水を持ってくる方法がとられるべきだと思う。

役に立たない計画を立てたノルウエーのコンサルタントにも腹が立つが、それを認めてカトマンズにはエレベーター付きのビルを建て、現地近くの村には立派な宿舎が並ぶ基地を造り、外国人専門家と称する人間を派遣して高級を払い、プロジェクトにどんどんお金を使わせている世界銀行にも腹が立つ。
そのしわ寄せは、ネパールの人たち一人一人の頭の上にのしかかってくるのである。
貧しさを一層貧しくする構図である。

話変わってポカラの飛行場を例に取ろう。

ポカラ新空港は中国がやるらしいが、以前その総予算は270億ネパールルピーと聞いたことがあり、半年ほど前このブログでもそのことにふれた。
私の試算では、新空港予定地はほとんど整地もされ、滑走路もすでにそれらしき形を取っているので、どの程度の空港建物をつくるのかは知らないが、200億円(以前は170億円といったと思うが)もあれば十分である。
その余計な負担(政治家の賄賂その他諸々)も、結局はネパールの人たち一人一人の頭の上にのしかかってくる。
こうした例は他にも幾つかある。

何故ネパールはこうした工事を独自でやらないのか。
今はネパールはでも、こうした工事が出来る人材も業者もそろっている。
しかし、問題はネパールの人たちが身近なお金儲けには奔走するが、独創性と自主性を持とうとしないことである。
どうしてこういうことになったのか、私はその原因が世銀やアジ銀、国連、外国政府のやり方にあると思っている。
早い話、その彼らのやり方によってネパール人がスポイルされ、今はどっちもどっちという状況を招いているように思える。
そしておかしな慈善団体も、それを助長しているように思える。
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テーマ:ネパール - ジャンル:海外情報

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プロフィール

宮原巍

Author:宮原巍
ネパールに住んで45年。
1934年、長野県青木村出身。
1968年トランス・ヒマラヤン・ツアー社(カトマンズ)、1969年ヒマラヤ観光開発株式会社(東京)を設立。その後、ホテル・エベレスト・ビューとホテル・ヒマラヤ・カトマンズを建設。
長年ネパールの観光事業に携わり、ついにはネパールの国籍を取得。
著書に『ヒマラヤの灯火』(文藝春秋刊)、『還暦のエベレスト』(山と渓谷社刊)がある。

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