2012-08

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ガイザットラ

ネパールにもお盆に似た行事がある。それはガイザットラ(牛の祭り)といって、日本と趣はかなり違うが、新盆に関するということで、私どものお盆に少し共通するところがある。ネパール暦で日が決まるので、日本のこの日と言えないが、大体8月の7日か8日頃である。ガイザットラとはその一年に身内で亡くなった人がいれば、その家の子供たちが顔に朱を塗り、紙の帽子をかぶり小さな旗竿を背中にさし、身に飾りつけをして、家から旧王宮前まで練り歩くなどする行事である。昔、王宮前の広場に集まったその子供たちの数を数え、今年は何人亡くなったかといったかたちで、王様がカトマンズの人口の動向を知ったという。

今は道路に溢れかえった自動車とモーターサイクルで、すっかりその影も薄くなった。それにカトマンズの人口が何十倍にもなった今、そんなことで人口の動向を探ることはとてもできない。私が最初に来た頃のカトマンズは、まだそうした風習が似つかわしい古色豊かな街であった。インド、アメリカ、ドイツ大使館などはあったが日本の大使館はまだなく、カトマンズにある自動車の数は300台とかいっていた。それから約半世紀、私はアンシャンレジームといえる時代から今日に至るまでのネパールの変遷をつぶさに見、その中に身を置き様々な体験ができたことは私の心の中の宝のように思える。

それはともかく、ただ騒ぎ立て、がやがややっていることをガイザットラと比喩することがある。例えば現在のネパールの政治がそれだ。ガイザットラの子供たちのおどけた身の装束から、しっちゃかめっちゃかといったときにもこの言葉が使われる。

政府が発表した11月の選挙はあり得ない。早くて来年の4月、遅ければ再来年の4月ということにもなりかねない。それが制憲議会選挙なのか、普通総選挙なのかもはっきりしない。制憲議会選挙であれば、また同じことの繰り返しである。こうしてみていると政治家の誰も国のことなど全く考えていないように思える。
最近感じることは、やれ民主主義だ、共和制だと言っている人たちは己の利益を追求しているように見え、この国には王様がいた方がよく、王制を残すべきだったと言っている人たちは、少なくも国のことを考えている人たちのように思えるのは私の偏見だろうか。私どもも王様が政治にかかわるのは、もうその時ではないと思う。ただこの国の歴史であった王制を残し国家統合の手立てにし、できることならそうしたアイデンティティを国民が持っても損はないと思うのだが、そう考えるのは私にずれが来ている証拠なのだろうか。
ただ一つ言えることは、私情として「ネパール民主連邦共和国」といった、アフリカのどこかの国から拾ってきたような国名にはかなり抵抗を感じる。自分がネパール人として、それになじめず、また誇りとすることができない。
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プロフィール

宮原巍

Author:宮原巍
ネパールに住んで45年。
1934年、長野県青木村出身。
1968年トランス・ヒマラヤン・ツアー社(カトマンズ)、1969年ヒマラヤ観光開発株式会社(東京)を設立。その後、ホテル・エベレスト・ビューとホテル・ヒマラヤ・カトマンズを建設。
長年ネパールの観光事業に携わり、ついにはネパールの国籍を取得。
著書に『ヒマラヤの灯火』(文藝春秋刊)、『還暦のエベレスト』(山と渓谷社刊)がある。

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