2010-07

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第一章 「ネパール国土開発党」の挑戦

ネパールの政治は相変わらずです。
明後日、議会で選挙によって決めるとしていますが、国民はもうテレビのニュースも見る気がしないといっています。
今年のモンスーンは数年ぶりに順調に雨が降っています。
政治のことは、私も書く気がしませんので、簡単に触れることにして、前回の本の目次にそって、書き出しの部分、これから5~6回、1回1頁ぐらいずつ紹介させてもらいたいと思っています。
前宣伝ですが宜しく。

 
第一章 「ネパール国土開発党」の挑戦

ヒマラヤのドン・キホーテ

「ええ! 日本人でネパールの選挙に出るなんて、どうなっているの。しかもその歳
で?)

二〇〇九年(平成二十一年)二月、宮原が七十四才の高齢を押して、ネパールの国政に挑んでいると聞けば、そうした疑問を、誰しもが持ったとしても不思議ではない。
たまたま、宮原が日本に戻った際に出席したある会の講話会で、見知らぬ女性から声をかけられた。
「私、最初に宮原さんのことを聞いたとき、なにかミーハーというか、どこかぶっ飛んだ陽気なおじさんがやる、よくある話かなと思いました」
宮原は苦笑しながら,
「あたらずといえども遠からずですよ」
「でもお話を伺って、何で宮原さんがネパールの政治にかかわろうとしているかがよく分かりました。宮原さんにとっては自然な流れなのですね」
「いやいや、ドン・キホーテみたいなものです」
そう答えながら、宮原は心の中で、新聞に載っていた同志社大教授の浜短子さんのいう『ドン・キホーテ論』を思い浮かべた。

ドン・キホーテは、「自分さえよければいい」という考えから非常に遠いこと、腕力が弱いなどの属性を備えながら、それでいて理念が高い。
そして、「自分だけ生き残ろう」と思えば思うほど、みないっしょに奈落の底に落ち込んでしまう、ということ
を象徴する新しい時代に相性のいいヒーロー像だという。
宮原はそこまで考えていなかったが、それは彼の目指すものであった。

ところで、かの女性がいった〈自然な流れ〉とは、一体何をしてそういわしめたのだろうか。
それは、宮原が何回かの海外遠征を重ね、登山や探検の延長線上にネパールを置いたこと、ネパール政府の通商産業省家内工業局での技術指導の仕事を皮切りに、四十二年間、ネパールで仕事をしてきたこと、そして、ネパールの国籍をとり、政党を立ち上げたことの思い、それらを聞いて、講話会で声をかけてきた女性はそこに脈々と流れる宮原の精神をくみとってそういったのであろう。

宮原は、ネパールの政治にかかわろうとした動機として、二つのことを挙げた。

・ネパールの素晴らしい自然を破壊しないで、国土が上手に開発されてほしい。

・ネパールの政治が、真に民主的で国民のためのものであってほしい。


このことをネパールの社会で訴えたい。そのためには政治に発言の場を求めるのが最も有効な手段であると考え、彼は国籍までも移し、政党を立ち上げたのだった。

ネパールでも環境破壊がすすむ。乱開発にも歯止めがかからない。政治は、民主化以後、今もなお混乱が続き、政府はなんの将来計画も、政策も示すこともなく、ただただ政争にかまけている。その結果、行政さえも機能を失いつつある。こうした政治では、宮原が動機としてあげた二項目は、実現が遠のくばかりだ。それをただ嘆くので
はなく、行動に結びつけようとしているのだ。

彼は、三十一歳からの人生をネパールで過ごした。その間、ネパール国内を東から西、南から北とくまなく歩いた。歩いた日数は一〇〇〇日を軽く超えた。

宮原は、そうして得た知識と体験をもとに、ネパールがこうあって欲しいという思いを『ネパール国土開発ヴィジョン』という小冊にまとめ、カトマンズで各界の要人に集まってもらいその発表会を行ったこともあった。それを今度は、八十頁におよぶ政党マニフェストに仕立て上げ、いま人生最後の時間を賭けて、敢然としてネパールの
政治に立ち向かっているのだ。身の程知らずといえなくもないが、本人は大真面目である。まさにドン・キホーテの名に背かない仕業というべきであろう。

次回に続く
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プロフィール

宮原巍

Author:宮原巍
ネパールに住んで45年。
1934年、長野県青木村出身。
1968年トランス・ヒマラヤン・ツアー社(カトマンズ)、1969年ヒマラヤ観光開発株式会社(東京)を設立。その後、ホテル・エベレスト・ビューとホテル・ヒマラヤ・カトマンズを建設。
長年ネパールの観光事業に携わり、ついにはネパールの国籍を取得。
著書に『ヒマラヤの灯火』(文藝春秋刊)、『還暦のエベレスト』(山と渓谷社刊)がある。

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